ひとり言バックナンバー No.15

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12月23日 クロノメーター表記について(No.205)
 先日メールでこんな問合せがありました。文字板にクロノメーターの表記があり、古い時計であるが、これはどう解釈すればよいか?ということです。 現在は、クロノメーターの表記に関しては、クロノメーター協会で厳しく規制していますが、1950年以前は単に精密機械という意味で使用していました。 その頃のSEIKOの時計にも、クロノメーター セイコーとW表記してあるものが沢山店頭に並んでいました。精度は決して良いものではなく、現在の クロノメーター規格からは、ほど遠いものでした。現在のクロノメーターは、クオーツ式を除いて、機械式のものもは、何日もかけて低温から高温、 姿勢もいろいろ変化をもたせて、一定の範囲内に入るように歩度調整されたものに限り認めています。
 世界的には、スイスのニューシャテル天文台とジュネーブ天文台で世界中の時計メーカーが参加して、コンクールを行っていたこともありましたが、 日本の時計が優秀な成績を上げ出したためか、ある時突然中止してしまいました。
 2004年もまもなく終わりになります。皆様、良いお年をお迎え下さい。新年2005年は、1月8日から又ひとり言を始めますので、 よろしくお願い申し上げます。
  12月18日 スピード違反の計測(No.204)
 ひと昔前までの警察のスピード違反の取締りには、ストップウオッチを使用して車のスピードを測っていました。100m又は30mの区間を何秒で走ったかと いうことを、目視によるストップウオッチで計測し、時間と平均時速との一覧表を見て、違反かそうでないかを決めて、反則キップを切るということを やっていました。
 東京の中野区で私の会社の者がこの取締りにひっかかり、スピード違反を問われたことがありましたが、その時は、30m区間で1/10秒計のストップ ウオッチを目視で使用していました。しかも使用していたストップウオッチは、ロスコフといわれているピンレバー式の幼稚園の運動会で使用される程の ストップウオッチでした。そこで私は、ストップウオッチの歩度証明書の提示を求め、裁判まで持ち込みました。目視による押し誤差の最小・最大の範囲も、 一覧表を作って裁判所に持ち込み、結果は、勝訴しました。今でもその時の記録は、記念アルバムに保存しています。何ヶ月か後に同じ場所を通りましたら、 又取締りをやっていましたが、その時は、光電管による電子計測に替わっていました。私があばれた事が引き金になったことでしょう。
 ヒットカウンタ 123456番 の方、画面をコピーしてお送り下さい。ささやかですが記念品を差し上げます。
12月11日 自動車レースの計時(No.203)
 計測の話になりましたので、ここで自動車レースの計測の事についてちょっとお話してみましょう。自動車レースでは、日本自動車連盟が公認している 国内自動車レースと、国際自動車連盟が公認している国際自動車レースがあります。アメリカのカートレースとF1レースは、別の組織委員会がこれを 行っています。日本で行われている一般のツーリングカーレースなどは、国内自動車レースとして公認されているわけですが、これらの運営に当る役員は 全員それなりの資格を持った人が行います。コース委員、技術委員、計時委員に分かれていて、それぞれの分野で活躍するわけですが、レースの計測に 関わる人は、計時ライセンスの一級、二級、三級等の資格を持った人達です。その人達が公認された計測器で計測して、計時委員長が記録にサインをして 初めて、公認タイムになります。サインができる人は、レースの格式にもよりますが、公認審判員二級以上の資格者です。
12月4日 昔の1秒、今の1秒(No.202)
 私達の生活の中で1秒といえばほんの一瞬の時間になっていますが、オリンピック競技では、その1秒が100分の1秒ずつ計測されて、 0.01秒の差で順位が決められていますね。計測器の中では、1,000分の1秒の単位で計測され、その数字が四捨五入されて100分の1秒単位で 発表されているのです。
 振子時計の時代では1,000分の1秒などを計測するのは大変なことでしたが、現在ではクオーツ時計が開発されて電子的に計算し、1,000分の1秒も 容易に計測される様になりました。40年前の東京オリンピックでは、やっとクオーツ時計が世に出てき始めた頃でしたから、マラソンなどでクオーツ式の クロノメーターが、しかも秒単位での計測に使用されていました。陸上などでは100分の1秒を計測する機械式のストップウオッチも使用されましたが、 3人の計時委員が同時に計測してその平均値をとっていたということです。人の目で見て、手で押す作業には個人差があり、早い正確な人と 一寸遅い人では約100分の40秒つまり10分の4秒の差があります。又、押し誤差などがあり様々な結果が出ていたようです。現在では光電管により 電子的にキャッチしてますので、殆んど誤差0で正確なタイムを計測することが出来るようになりました。
11月27日 標準時(No.201)
 昔は、国や都市ごとにそれぞれの時刻があったわけですが、世界の交通が発達してくると統制のある時刻を決める必要がでてきたわけです。 そこで1884年(120年前)アメリカのワシントンで子午線会議が開かれて、ロンドンのグリニッチ天文台を通る子午線を0°とし、そこでの平均 太陽時を標準とすることに決定されました。これがグリニッチ標準時(G.M.T)です。この標準時を世界共通の時刻として交通や報道関係で使用しています。 又、これを世界時ということもあります。グリニッチの子午線を基準にして、地球を東西に15°づつ分割して、これらの子午線を中心に両側7.5°以内は 同時刻としています。東隣では1時間早く、西隣では1時間遅くなります。
 日本では、兵庫県明石市にあります人丸神社を通る東経135°の子午線を基準にして日本全国同一時刻を採用しています。 これは、グリニッチ標準時より135°/15°で9時間だけ早い時刻になります。
11月20日 1秒とは?(No.200)
 日常の生活の中で1秒といっている単位は、1950年10月15日パリで開催された第11回国際度量衡会議で決定されたとのことです。 ニューカムの太陽表(暦表時)による1900年の最初を基準として1年 31,556,925.9747 分の 1 を1秒と定め計量の基礎とするようになったとのことです。
 日本では、これに従いまして昭和33年(1958年)4月16日、計量法で次の様に規定しています。「秒は昭和33年12月31日午後9時における 地球の公転の平均速度に基いて算出した1太陽年の 31,556,925.9747 分の 1 として東京天文台が現示する」ということになったようです。 天文台が時の決定を行うわけですね。こんな大事なことがわずか50年前に決ったなんて、ちょっと不思議なことです。 それ以前には、時に対する感覚がさほどしっかりしていなかった事になります。
11月13日 時刻と時間(No.199)
 20年前に第3版で発行が停止してしまいましたが精工舎の能力育成センターが編纂した教則本があります。その中からかいつまんでためになるところを 御紹介しようと思います。
 私達は日常生活の中で、ごく限られた場合を除いて、時間という言葉を時刻と時間の両方の意味を持たせて使っている場合が多いようですね。 寝る時間といった時、何時に床に就くのか、何時間寝るのかがはっきりしません。床に就く瞬間が時刻で、寝ている間が時間であるはずです。 理屈をこねているようですが、電車には乗る時刻があり、目的の駅に着くまでが時間です。つまり、流れが時間で、瞬間が時刻であると認識しましょう。 こんなこと既に御存知の方も大勢いらっしゃることと思いますが、改めて考え直すことも良い事と思います。12時ジャストは昼休みに入る時刻であり、 次の1秒過ぎから昼休みの時間が続くわけです。1時が昼休み終わりの時刻になります。
11月6日 電磁波のお話(続き)(No.198)
 電磁波の研究については、すべてに結論がでているわけではないようです。今、産業図書発行の電磁波障害という本をひもといていますが、 大変難しいようです。電磁波を発生する基になる器具や自然現象は身の回りに無数にありますが、時計に関わる件では、身体に影響がでるものは、 現在のところ見当たりません。普段私達が身につけているクオーツ時計では、最高で3.7ミリガウス、最低で0.1ミリガウスが測定されました。 ANSIが安全基準として発表している数値は、10メガ〜10ギガヘルツの電磁波に対し、100ワット/平方メートルとしていましたが、1982年に 基準値が見直されて、体重1キログラム当りの電磁波吸収量として、0.4ワット、人体が吸収しやすい30〜300メガヘルツの範囲は、10ワット/平方メートルと された、と記してあります。この数値を見る限りでは、さほど心配はいらないようですね!!!
10月30日 再電磁波のお話(No.197)
 最近になって、電磁波の人体への影響について取りざたされることが多くなってきたようです。時計ではありませんが、ある有名な自動車評論家が、 自動車の運転席と助手席、後部座席における電磁波の測定をして人体に関わる影響を研究しているということを聞きました。電磁波は、わずかですが セイコーのキネテックでは0.99ミリガウス、又は、0.84マイクロテスラの計測値がでました。小型クオーツクロックでは、最高で34ミリガウスがでております。 日本では、電磁波の人体への障害予防への対応が遅れていましたが、平成二年六月に電気通信技術審議会の検討結果がまとまり電磁波曝露の規準が ANSI(米国規格協会)の線で答申されたそうです。(次回に続く)
10月23日 メンテナンスのこと(No.196)
 自動車の場合は、6ヶ月・12ヶ月毎に定期点検があって、整備記録が残っていますが、時計の場合は、記録簿がありませんので、自分でメンテナンスの 記録を残しておくことが必要です。固定客がいる時計店の場合は、修理台帳がありますので、その台帳を見ればどのお客様が何時、何の時計を持ってきて、 どんな修理をしたかが解る様になってますが、修理を依頼する時計店がその都度替わると、これが全く解らなくなってしまいます。慣例としては、時計の中に 修理した日付と職人が誰であったか解るサインをすることになってます。これは、クレームに対応する為にも必要ですが、お客様(ユーザー)がどの様な 使い方をしていたかがすぐ解るので大変に良いことであります。
 私が、18才(55年前)の時に修理した時計に巡り逢ったことは、前回お話したと思いますが、前回の修理した記録によって様々なことが想像される ことになります。前回からどれ位の期日が経ったか、油の残り具合は?汚れ具合は、などによって使用勝手が判断できるのです。機械時計では、3年〜5年に 1回は必ずOHをしなければいけません。修理代が高いからといって、ないがしろにしないことが大切です。ゴルフクラブや釣道具の手入れも大切ですが、 時計の定期メンテナンスを忘れないことにしましょう。
10月16日 時計の背番号(No.195)
 私のホームページをご覧下さった方から沢山の修理依頼があります。メールを頂くのですが、ただ時計の名称しか明記してなくて、 修理代はおいくらですか?の問い合わせが結構多いので困ってます。時計の名称・型式(これはケースの裏側に刻印してある数字を記して下さい)、 又、解る範囲で良いですからムーブメントのキャリバー、トラブルの内容、前回の修理の履歴等をお知らせ頂ければ有難いと思います。 ムーブメントのキャリバーとは、時計の戸籍みたいなものですから、これだけでも解れば十分です。皆さんも御自分で使用している時計は、 何処のメーカーで、キャリバーは何番なのか位は、知っておくと良いと思います。
 国産時計は、1950年頃までペットネームで表示してましたが、 それ以後キャリバー表示に替わってきました。スイスでは、大昔からキャリバー表示でしたが、販売側もユーザーもキャリバーに対してあまり認識がなく、 ペットネームで通していた様です。しかし、何事も数字で管理する様になったIT時代では、時計に限らず、型式、型番、年式、コードNo、キャリバーは、 背番号と同じに大切ですから覚えておきましょう。
10月11日 部品の供給(No.194)
 私のところには、大勢の方から修理についていろいろな問合せがあります。せっかくの事ですから、すべての修理に対応できるようにつとめておりますが、 手作りの部品では間に合わないことがあります。メーカーの方に頼んで作った事もありますが、それでも駄目な事があります。特にブランド品は、ディーラーの ガードが堅くて部品を一人占めしてますので、部外者はほとほと困ってます。ブランド品を購入する時は、一応アフターサービスについて、確認をとっておく 事をおすすめします。
 他の一般に流通している型番については、ジャンク部品や、同型をバラして流用することで対応してます。スイスのETA社の製品、オメガ社、ロンジン等は、 部品の供給がありますので、修理業の我々にとっては本当に有難いことです。
10月2日 メーカーサービスのお話(No.193)
 ヒットカウンター#111,111の方は、東京都内板橋区の方でした。おめでとうございます。次回は#120,000の方にお送りすることにします。
 セイコーでもシチズンでも、お客様相談室という窓口があります。これは、いわゆるユーザーサービスとして開設されている窓口で、それぞれのメーカー 製品のトラブルについて承る相談口になっています。
 セイコーは、 0120−061−012 で、シチズンは、 0120−784−807 です。
 セイコーでもシチズンでも、なんでもOKかといいますと、必ずしもそうではありません。日本では、税制の問題や、公正取引委員会などちょっと訳の 解らない役所がからんでいて、部品の保存・確保の件でちょっとややこしいことがあり、古いものがなんでも直るとは限りません。古い部品が法にふれない 範囲で処分されてしまって、補修部品なしで返却される例が多くなってしまいます。そこにいきますと、スイスでは決してこんなことにはならない様です。 何年か前のことですが、60年位前のナルダン社の部品をスイスの本社に注文しましたら、ドンピシャと合う部品を送ってもらいました。これには感激しました。 日本でもこんなことがあると良いですね。
9月25日 電池交換のトラブル<そのW>(No.192)
 Q4−Aです。
 電池の寿命は十分であると思ったのに、ある時突然に止ってしまった。この原因については幾つか考えられますが、まず新しく入れ替えた電池が 容量不足で、バッテリーライフが短命であった。もう一つは、電池交換した時、何らかの原因でわずかなゴミ、ケバ等がムーブメントの中に残っていて、 何ヶ月か使用している間に巡り巡って歯車の間や、ローターに付着して止りの原因になった。あと考えられることは、運針部(メカ機構)の油切れです。
 クオーツだから電池だけ取り替えていれば何時までも使えるという考えは、間違ってます。最近のお客様でちょっと笑えない話がありました。 メカ時計の修理をお預かりして完成後、お送りしたのですが、「受け取った時に既に止っていた。新しい電池を入れたのか!!」との お叱りの言葉、電話口の大声にはびっくりしました。クオーツ時計が普及すると、こんなことになるのですね。
9月18日 電池交換のトラブル<そのV>(No.191)
 Q3−Aです。
 新しい電池を入れても、2〜3ヶ月で止るようになった。これは、人間でいえば脳死はしていないが、手足が動かないといったところでしょう。 クオーツテスターで計測しますと、正確にカウントしてます。信号もバッチリですが、針が動かないのです。 これは、機械部の油切れ、又は、ローターにゴミが付着して回転が妨げられていることがあります。ピク止りという現象がありますが、 正にこれのことです。秒針が1ヶ所でピクピク動いていて前に進まないことです。この様な時は、速やかにOHをして下さい。100%復活します。
 ただ、まれに電池交換後に回路のトラブルが発生することもありますので、注意したいところです。 近所に落雷があったり、山歩きで落雷に遭うとクオーツ回路が瞬時に破壊されることがあります。又、マグネットスナップ、バッグの口金、 携帯電話などの近くに置いても止ります。
9月11日 電池交換のトラブル<そのU>(No.190)
 Q2のAです。これは、A1の終わりの部分で少し説明しましたが、意外と多いのは、交換時の作業ミスによるトラブルです。 今までに私のところに持ち込まれた修理品の中にも結構沢山ありました。これは、時計専門店外で電池交換を依頼して起きることが多いようです。 ケースの形状も様々で、専用オープナーが必要なこともありますし、一般に最も多く使用されている側コジ開けだけでも 何種類か形状の違ったものが必要になります。スクリュー式に見えてもポコ式であったり、一度開けると、専用アダプターがなければ閉まらないケースも あります。輸入品の中には、どうすればケースが開けられるのか、解りにくいものもあるのです。側開けに3年の経験が必要であるといってますが、 全くその通りです。裏蓋を開ける時、工具の先でコイルや回路を壊してしまうことがあるのです。或いは電池取り外し時、又は装填時にドライバーを すべらして、内部を壊すことがあります。これらの事を考えてみますと、たかが電池といわず、専門店で交換することをお勧めします。交換手間賃の中には、 永年培った技術料が加わっている事を考えましょう。
 ヒットカウンタ 111111番 の方、画面をコピーしてお送り下さい。ささやかですが記念品を差し上げます。
9月4日 電池を替えても動かない(No.189)
Q1. 時計が止ってから入れ替えまでの日数はどの位であったか。1〜2週間位、1ヶ月以上〜、1年以上〜、どの位たったか不明、といろいろです。
Q2. 止ってから早い時期に交換したが動かないと言われた。
Q3. 新しい電池を入れても、2・3ヶ月で止るようになった。
Q4. 電池の寿命も十分と考えられていたが、ある時突然に止った。(新品1〜2年のもの)
A1. 前回電池交換から1年以上経っていて止った場合、1ヶ月以内位でしたら電池の漏液のトラブルは無いと思いますが、1年位ほったらかしにしてますと、 電池漏液でムーブメントが腐食して錆が元で不動になります。止ったらなるべく早いうちの交換か、使用しないのでしたら電池を取り外しておきましょう。 1ヶ月以内での交換の止りについては、回路の破壊かコイルの断線が考えられます。コイルの断線は、自然に切れることは滅多にありませんが、交換時、 ケースオープナーの取扱不慣れで、壊すことが多いようです。これは取扱店が説明せず、ただ動きませんと言って返してくる事があります。

8月28日 時計修理のQ&A(No.188)
 これからしばらくの間、私に送られてきたメールの中から、時計に関わるQ&Aについてお話してみたいと思います。 このひとり言も今回で188回目にもなりますから、同じ事の繰り返しになることもあるかと思いますが、改めて思い返して頂きたいところです。
Q.クオーツ時計も分解掃除が必要なの?
A. デジタル時計で液晶表示のタイプは、OHの必要はありませんが、竜頭やプッシュ釦のところに垢がたまったり、水が入ったりでわずかな錆でも 動きが鈍くなりますから、時々、竜頭と釦まわりのクリーニングが必要です。
アナログタイプのクオーツ時計は、ムーブメントが機械部、回路部(コイルを含む)に分かれていますので、機械部に関しては機械時計と同じですから、 3回〜5回電池替えをした時点でOHをした方がよいでしょう。一般にピク止り現象といって、秒針が何処かで止ってピクピクしていることがありますが、 これはローターや歯車にゴミが付着して起きる現象のことです。又、アナログ式でもOHをしないでムーブメントそっくり交換することもあります。 メーカー修理には良くあることです。一番困る最悪の止りは、止ったので電池を替えたが、やはり動かないという時です。これにはいろいろなトラブルが ありますが、次回のお話にしましょう。

8月21日 閉店する時計店(No.187)
 私達時計の修理や販売に関わるショップは全日本時計宝飾眼鏡商業協同組合連合会という18文字にも及ぶ長い名称の組織に加入しています。 又、その傘下の東京時計宝石眼鏡小売協同組合の一組合員になっています。いわゆる時計屋の仲間達での集合体ですが、やはり一人で何かするより、 大勢で集まって情報の収集や協同購入などをしてますと、少しでも利益に繋がるようです。
 しかし、今は時計や宝飾品は大型量販店、廉価販売店、通信販売に押されぎみで、小さなお店、商店街や駅前等の時計店は、大変に苦戦してます。 それに一番大きな問題は、後継者不足です。大事に育てた長男がサラリーマンになって、店の事に振り向きもせず、パソコンに夢中になっている、 なんていう話は、同業者の口から良く聞く話です。これは都会のみでなく、地方都市でも同じようです。毎年何軒もの時計店が店を閉めてます。 高い商品が売れている話を良く聞いてますが、一般の時計店にはあまり縁のない話です。消費者は、購入する資金は十分にもっているようですが、 財布のひもが堅く、ここのところ北風が吹きまくっているようです。しかし、修理に関しては、歌の古時計現象と鑑定団症候群で結構多忙です。
 8/23〜9/3までNHK教育TV(関東地方は3ch)で「うごく絵じてん」という子供向きの科学番組があります。 そして9/1が私めの出番になってます。19セイコーの分解をお見せしますので、お時間のある方は是非ご覧になってみて下さい。 16:55〜17:00までの5分間です。
8月14日 NHKプロジェクト(No.186)
 8月25日まで、東京ドームプリズムホールで、特別展プロジェクトX21が開催されています。2001年9月4日に放送されたセイコー世界初の クオーツ腕時計アストロン35SQが再登場してますので、改めて眺めに行ってきました。タイトルが面白いですね。“逆転田舎工場世界を制す”  長野県諏訪の一時計店主山崎久夫氏が諏訪セイコー舎を創設して腕時計の生産を開始した話は、時計マニアの方は皆さんご存知の事と思います。 これは現在のエプソンです。諏訪を東洋のスイスにしようと志したわけですが、立地条件がレマン湖とジュネーブを思い出すと良く似ていることが 解ります。こんなところから時計王国日本が生まれてきたわけですが、プロジェクトX21展は他にも沢山の驚くべき発明がひと目で理解できますので、 放送を見なかった分を含めて、是非おいでになることをおすすめします。2時間位たっぷりかけてご覧下さい。新たなる知識が増えることでしょう。
8月7日 理論と実際(No.185)
 機械時計の設計に関わる研究は、その道の専門家の方々が数学、物理、工学、理化学等あらゆる分野で殆んど完璧といわれるまでに研究されつくしてます。 どうずれば正確な時間を刻むかということは、理論では解っているはずです。私達の如き一般の時計修理に関わっている者にとっては、時計学などは 縁遠いものになっていますが、実務の中で学者の意見を参考にしながらピンセットとドライバーを動かしている作業は、それなりに楽しいものです。 その昔、精工舎の工場に勤務しておりました頃に、設計のグループと組立に関わっているトップのグループとで意見の喰い違いがあり、理論と実際に 差があることについて大論争をしていたことが間々ありました。理論通りに設計・製作された時計が実際に組立てて、うまく動かないことが良くありました。 50年以上も前の話ですから、電卓もコンピューターもなく、ソロバンとカラス口の時代ということです。
7月31日 機械時計の温度補整(No.184)
 機械時計は、外気温度によって、時間に遅れ進みがでてきます。(もちろん、クオーツ式でも設計の段階では24℃で安定した振動数が得られる様になってます)  機械時計が温度差によって遅れ進みがでる主な原因は、天府の大きさが変化すること、ヒゲぜんまいの寸法が変わること、ヒゲぜんまいの弾力に 変化が出ることなどがあげられます。これらが組み合わされることで振動に変化が及ぶわけです。これを自動的に補整するか、特殊合金の天府と ヒゲとぜんまいを使用する場合があります。
 最近の時計は、温度が上ると膨張して慣性能率が増して遅れてくることに合わせて、温度上昇でヒゲぜんまいの弾力が増して、天府(輪)の回転の遅れと お互いに打ち消し合うように設計されています。これで温度誤差が生じないようになってます。 補整ヒゲぜんまいの材料としては、@エリンバー Aコエリンバー Bベリンバー Cメテランバー Dジュランバー Eニバロックスなどがあり、 いずれもニッケル、クローム、鉄、モリブデン、チタン、アルミニューム、ベリリュームなどの合金です。

ひとり言もおかげさまで満4年たちました。ヒットカウンタ105000番の方、画面をコピーしてお送り下さい。
ささやかですが記念品を差し上げます。
7月24日 修理代金について(No.183)
 最近は、私のホームページをごらんになって、時計の修理を依頼してくる方が特に多くなってきました。 その殆んどの方が修理代を気にしているようです。一般に時計の修理代が高いと認識されているようですが、1ヶの修理にかかる時間と金額を評価して みますと、その時間給は、公務員の平均給与に達していません。みじめなものです。ですから、修理代金の見積りをして“高いですね”と言われると、 がっかりします。又私達は、修理代のバーゲンセールはしておりませんので、それではもう少しお安くしましょうとは決して申しません。 又、現物を拝見しないで、修理代の見積りは、決して行っていません。一度いくらですと申し上げた後で、とんでもない事になることがよくあります。 そんな時に限って、いくらですと言ったではないか!!と喰いつかれることがあります。ですから、ネットで御相談をお受けしても、 基本料金は申し上げますが、必ずしもその通りでない事を認識して頂きたいと思います。又、定期的にきちんと手入れをなさっていらっしゃる方と、 止ってからどうにも仕方なくなって修理に持ち込む場合は、料金に差が出ても止むを得ないことです。
7月17日 我が国の時計生産(No.182)
 プランタン銀座の催事で一週間お休みしました。大勢のお客様にお見え頂きました。有難うございました。
 日本時計協会がまとめた資料に依りますと、2003年の日本の時計生産量は、海外生産品を含めて、7億6,958万個とのことでした。 この数字は、前年比6%増だそうです。ウオッチの生産実績は、完成品数量8,442万2千個、金額にすると1,130億8,400万円とのことです。 なお、ムーブメントのみでは6億8,914万1千個で、金額は730億4,500万円となってます。この中で、国内出荷実績は完成品958万個で469億1,000万円です。
 一方、クロックの生産実績は海外生産を含み、完成品が1,955万3,000個で260億5,000万円、ムーブメントが615万5,000個で8億7,800万円とのことです。 クロックは、機械式は0個で電池式と交流式の2機種のみの生産です。もうクロックでは機械式が生産されなくなってしまったのですね。 そんなことかも知れませんが、私のところには機械式クロックの修理が沢山持ち込まれて悲鳴をあげております。
7月3日 油のおはなし(続き)(No.181)
 1950年ごろの時計修理に使用していた油は、それはみじめなものでした。戦後まもない頃でしたので、良質の油があるはずはありません。 時計店によっては、クロックに椿油を使っていたなんていう話も聞きました。古くから在庫していたミシン油などは貴重な存在でした。 時計油は、深海魚から作ることが多いのです。低温に強いことが必要な為に、有機質になってしまいます。最近は、良く精製されてますので 臭いはありませんが、戦後まもなくの油は、様々な臭いのある油が沢山ありました。クロック、特に柱時計にはこれらの油を使用しますと、 その油を嘗める為に、機械の中にゴキブリが入り込むことがありました。止りで持ち込まれる柱時計の歯車の間に、挟まれたゴキブリが、 沢山出てきてびっくりした事などは、懐かしい昔の想い出です。
 時計の修理技術の中には、油の使い方、種分けを含んで大変に難しい問題があります。技術手引書に従って作業するだけでなく、 長い経験の結果得た知識を生かすことの方が大切です。
 来週は、プランタン銀座のフェアーがありますので、ひとり言はお休みします。お時間のある方は、プランタンに遊びにいらして下さい。 ホンマウオッチ・ラボラトリー、修理相談コーナーにおります。
6月26日 油のおはなし(続き)(No.180)
 7月6日から7月12日まで、プランタン銀座(東京都銀座3−2−1 TEL(03)3567−0077)の6Fにて、 ロレックス&ヴィンテージウオッチフェアーを開催されます。来場御希望の方は、メールにて、住所・氏名を御連絡下さい。 御案内状をお送りします。当社では、時計無料診断をかねて修理受付コーナーを開設致します。是非お出掛け下さい。

 この時計油を開発したのは、シチズン時計株式会社の化学部門です。クオーツ式はもちろん、機械式時計にも使用可です。 又、金属、プラスティックと相手を選ばず使用できます。酸化しにくく、他の分子との作用も起こりづらく、長期的保存性が良く、 変質が抑えられます。
 時計のメンテナンスは、3年から5年に一回は行わねばなりませんが、それは、ゴミによる止りや不具合が原因であることが多いのです。 あらゆる機械メーカーの研究室では、オイルレスで動くメカニズムを考えてます。しかしまだ特定のものを除いて現実は厳しいものになっています。 その反面で、高性能の潤滑油が研究開発されています。今回のC社の新時計用油は、時計業界に新たな時代をもたらすかもしれません。 多いに期待したいところです。ちなみに私も2ヶ月前から使いはじめました。先の成果が楽しみです。
6月19日 油のおはなし(No.179)
 三輪車、自転車、自動車、ミシン、冷蔵庫のモーター等、私達の生活に関わる機械類でぐるぐると高速で回転するものは、数多く見られますね。 沢山の歯車や軸が高速で回転する、しかもスムーズにむらなく回転する為に重要な役目を果たしているのは、潤滑油です。ひと口に言えば、油です。 この油については、夫々の分野で研究が続いています。私が車に乗り始めた1950年代は、自動車のエンジンオイルはシングルグレードが当たり前の 時代でしたが、50年代後半にはマルチタイプが市場にでてきました。同じ頃、時計の油にもそろそろ革命が起きてきたのです。
 時計は、低速で回転するので、特殊な分子配列になっていますが、低い温度から高温まで幅広く有効である必要性が強く望まれるのです。 その昔は、赤筒(アカヅツ)といって、赤い箱に入っているスイス製の油が最高とされていて殆んどの時計店ではこれを使っていました。 50年代後半から60年代にかけては、クロナックスブランドの時計油が定番品になりました。色が赤味を帯びているきれいな油でした。 しかしこれも短期間で姿を消し、現在では、スイス製のメービスブランドの油の各種グレードが使用される様になりました。このメービス時計油は、 寿命が長く、世界中の時計業界を制覇しました。ところが、最近、日本の時計メーカーが優れた油を開発しました。続く。
6月12日 時の記念日のこと(No.178)
 もう済んでしまいましたが、6月10日は時の記念日でした。昔(1920年頃)から、時を大切にしようということで全国的に多くの行事が開催 されていました。しかし最近は、不景気なこともあり、時計関係者が静かになってしまいました。街頭で時計無料診断や、電池交換のサービス等、 様々なイベントが盛んに行われていた頃が懐かしく思います。時の記念日とは、671年4月25日(太陽暦で6月10日)に天智天皇が水時計で 時を計ったという事から、この日が決められたと聞いてます。これは皆様も小学校で習ったことかと思います。
 時計に関わる技術開発も、留まるところを知らずで、それを修理する私達にとっても、情報の収集と研究は日夜怠ることが出来ず、老骨にムチを打って 頑張っている昨今です。水時計と、電波時計との差は、ジェット機と、歩く人位の差異があるでしょうね。
 7/6〜7/12まで、プランタン銀座で開催されます、ロレックスアンドヴィンテージウオッチフェアーについて、詳しい事はスイートロード ホームぺージ http://www.sweetroad.com/ をご覧下さい。ホンマウォッチラボラトリーでは、 時計無料診断コーナーを開設しますので、お越し下さい。
 まもなくこのホームページも100,000人目をお迎えします。

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