ひとり言バックナンバー No.8

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4月21日 オリジナル時計はいかがですか? (No.77)
 時計の機械部分のみのことを、ムーブメントと云っています。 最近はこのムーブメントを簡単に入手出来るようになりました。 その為かどうかわかりませんが、個人でも、 自分たった一人の時計を自分の手で作る人が増えて来ました。 一寸器用な人でしたら、シルバーやゴールドを材料にして、ケースを作り、 文字板を作りして楽しんでいます。
またそれとは別に、各メーカーでは、たった一個しかないオリジナルウオッチも 作ってくれます。ペットの写真や、可愛らしい孫の写真を撮ってメーカーに送れば、 一週間くらいで、その写真が文字板になった腕時計や懐中時計を作ってくれます。 小学校の入学記念、結婚記念、と何かの想い出の記念にと、 格安でできる記念品として人気があるようです。
メーカーの記録に依りますと、時計の受付はペットと孫が圧倒的に多いそうです。 あと、女房に内緒の彼女の○○とのことです。面白いですね。 そのうち主人に内緒というのも出てきそうですね。 私は午年生れですので、かつて棟方志功さんに彫って頂いた、 午の繪を文字盤にしたものを作りました。 その他、所属している団体のマークでも作ってみましたが、楽しいものです。
皆さんも何か作ってみては如何ですか? 世界にたった一個の時計を作ってみませんか。 くわしい事を知りたいよ、とおっしゃるお方は、 メールでseiji@hommawatch.com までお尋ね下さい。 資料をお送りして差し上げます。

4月14日 ネズミ捕り(後半) (No.76)
 その当時は時間計も計量法の適応を受けていましたから、 計量検の検査を受けていなければいけなかったのですが、 この時の取り締まりに使用していたストップウオッチは廉価品で、 検査が通らないものでした。 その点を指摘し、さらに押し誤差について説明し、 ついには検察庁まで話を持って行き、弁護士を同行して大騒ぎをしました。 結果は私達の勝ちで、罰金を払わず、ポイントも付かず、 赤紙の切符は今でも記念に持っています。
数ヵ月後、同じ場所をたまたま通りましたら、今度は最新式の光電管を使用して、 赤外線センサーによる電子計測器でネズミ捕りをしていました。 私達が大騒ぎしたことで、警察もあわてたことと思います。 この一件について良く考えてみますと、私達がモータースポーツの 計時一級ライセンスのホールダーであることと、 時計技術屋であればこそのなせる業であったと思います。

4月7日 ネズミ捕り(前半) (No.75)
 全国交通安全運動が始まりましたね。お年寄りと子供の交通事故が多いということで、特に注意するように呼びかけをしています。
少し前のことですが、子供の乗った自転車がお年寄りとぶつかって、二人ともケガをしました。これはどうしたものでしょうね。 最近はスピード違反の取り締まり、いわゆるネズミ捕りが少なくなりましたが、ひと昔前にこんなことがありました。
私の会社の社員がひっかかったのですが、目の前を通り過ぎる車を見て警察官が小さな旗を振るのですが、 その旗を見て30メートル先にいるもう一人の警察官が、手元のストップウオッチを押すのです。 その後その車が自分の前を通過する時、ストップウオッチを押して止める。 早い車には手を上げて少し先で停車させて、免許証、ということになっていたのです。 しかしその時間がわずか3.6秒より早いか遅いかで、違反かそうでないかを決めていたのです。
しかも使用していたストップウオッチがロスコフと云って、 ピンレバー式の極廉価品(当時の価格で4千円)でした。 ストップウオッチには押し誤差というものがあり、人間の目で見て、脳まで神経が働き、 指先が動き、竜頭釦を押して、針が動き出すまでの時間が扱う人によって差があります。 0.1〜0.4秒までの差があるといわれています。 ですから、最初の警察官が0.1秒早く押して、後の警察官が0.4秒遅く押したとしますと1/2秒の差が出ます。 わずか30メートルの区間ですから、時速で5Kmも差が出ます。
つづく。

3月30日 戦争の頃の想い出 (No.74)
 私が中学生の頃、丁度第二次世界大戦(そのころは、大東亜戦争と云っていた)たけなわでした。 勉強なんかしなくて良いから、軍需工場に行って兵器を作れと云われて、 茨城県の勝田(水戸の一つ北側の町、現在は市)にはる日立兵器工場に通っていました。 17才か18才の頃です。 背丈もあるフライス盤や旋盤を動かして、機関銃の部品を作る作業です。 現在では考えられないことですが、当時としては学徒動員といって当たり前の事でした。
この頃の想い出話は語り尽くせない位、山の様にありますが、今回はそんなことではなく、 この学徒動員で機関銃作りをしたことが、現在の私の時計の仕事に大変役に立っているというお話です。
ヤゲン台、トースカン、スコヤはもちろん、ノギス、マイクロメーター、デバイダーの使い方は その時既に仕込まれていました。 ヤスリかけの基本は、ピッピッピッという笛の合図の元に、とことんまで教え込まれました。 腰を使ってヤスリかけをする仕業です。
ボール盤も旋盤も超大型ですが、現在時計用の小さな機械を使っていますが基本は変わりません。 アメリカ軍の艦砲射撃で滅茶苦茶に破壊された工場を後にする時、小さな工具を沢山貰って来ました。 今でもその時のドリルやスコヤを当時を想い出しながら大切に使っています。 人間何が幸いするか解りませんね。

3月23日 アンティークウォッチ好きな人 (No.73)
 2月に銀座松坂屋で世界腕時計博が開催されて、多くのお客様がお見えになり大にぎわいでした。 アンティーク時計のフェアーでしたから、当然時代の過ぎた品物が沢山展示されていました。 今回の特徴としては、特に国産品、セイコーの1950〜60年にかけた品に人気が集中していた様です。
 会場に見えた方々は、研究熱心な方が多く、本当に良くしっていらっしゃいました。 アンティークウオッチの博士みたいな人達ばかりがお客様でした。 毎回顔を拝見する方は、殆ど初日にお見えになりました。 又会期中、毎日必ず見える方もいらして、びっくりしました。 そして何故か、その都度何かを買い求めていらしたのには、二度びっくりです。
お客様とお話をしますと、アンティークウォッチを収集する方には、何か一つのターゲットがある様です。 時代を追いつつ集める、キャリバーをきめて集める、ペットネームで追ってゆく。 又は、19セイコーの様に、時代がはっきりしているものは、自分の生年月日(生れ年)に生産、 又は販売されたものを求める、と云った按配です。
女性の方の中には、昭和初期の品に興味をもたれる方が大変多い様に見うけらました。 或いはおじいちゃんおばあちゃんが使っていたものに似ているものを探していると云う問い合わせも 何回か受けました。
少し景気が上向きになってきたのでしょうか、今回のフェアーは今までで最高の売上げであったとのことです。
4月は11日〜14日まで五反田のTOCで丸井春のビッグバザールが開催されて、 アンティークウォッチは第二会場でご覧になれます。 招待状御希望の方はメールでお申し込み下さい。お送りします。

3月16日 時計が汚れていませんか? (No.72)
 このお話も何回か申し上げてますが、たとえ話として、ギョーザ食べたすぐ後で歯医者に行った友人が、 「すみませんが今日はお帰り下さって、又出直していただけませんか」 と医者に言われて、何でそう言われたか解らないと云ってました。 三ヶ月風呂に入らないで健康診断に行けば、診療担当のお医者さんも不愉快に感じるでしょうね。
なんでこんな話になったかといえば、先日修理にお預かりした時計があまりにも汚かったからなのです。 自分が毎日使っているものですから、もう少し手入れをして欲しいと思います。 バネ棒とケースの間には、真っ黒に垢が溜まっていましたし、 三つ折れの部分は、耳掻きで3〜4つ位の垢の塊が溜まってました。 洗浄しましたら、1回で洗浄液の交換になりました。
皆さん、もう一度毎日使っている時計をあらためて手にとって良く見てください。 立派なスーツを着たりブラウスを纏っていても、腕に着いている時計がこれではがっかりです。 おしゃれのキーポイントは、腕に着けている時計からでーす。

3月9日 時計技術者の育成 (No.71)
 時計の技術を身に付けたいと考えている若い人が多くなってきましたね。 メールで相談を受けたり、直接尋ねて来られる人もいたりして、時計技術のマーケットがここにきて、 にわかに忙しくなってきました。
ジャパンウォッチラボの方にも、尋ねてくる人やメールが入ってます。 このページでも何度かお話しているように、大資本か余程利益が上がっている会社以外では、 仕事を教えながらお給料を支払うということが難しい世の中になっています。 時計技術者1人を教えるのに、1年間で約200万円の持ち出しになると考えてください。 そして給料となると大変な負担となります。労働基準法が盾になってどうにもなりません。 その為に学校が流行ってくるわけです。
ただし、時計技術には基本となることがあります。 技術、理論、営業です。その他パソコン、外国語も入ってきます。 技術の中では、側開け3年(ケースを開ける作業)、 ザラ組8年(ムーブメントから天府とアンクルを除いた部分を組立てる作業)、 振付け一生(天府を組付けして時間を合わせる作業)と言われているように、 私達でもまだまだ修行が足りないと思っている程です。
ですから、本当の一人前になるには何十年とかかりますが、現在は技術者不足から、 3年位の経験で作業に従事しているところが多いようです。 しかし、いづこサービスステーションでも技術向上には頭を痛めています。

3月2日 こだわり (No.70)
 ”こだわり”を辞書で引くと、「つまらないことに心をとらわれる」となっています。 人によってはつまらないことも、他人にとってはつまることになるでしょうね。
時計の修理では、その”こだわり”で沢山のトラブルが起きています。 カレンダーの日付が12時ジャストに変わらない。 風防にキズがある、それも良く見ないと全く解らないような小さなキズ。 文字板で然り、ケースで然りです。 この外装関係の小キズは、腕に一週間も着けていますと、何かしらのキズがつくものですが、 それが気になるというのです。
又クロノグラフの針が少しずれている。(0.01mm位)復針がうまく行かない(故障ではない事有り)。 針やベルト、竜頭がオリジナルでない。 アンティークウォッチでありながら、当時販売されていた時と同じオリジナルの姿にして欲しい。 等々、色々いろいろですが、古いものにはそれなりの歴史があります。
或るお客様の中には、古いキズはそのままにして残して欲しい。 研磨しないで下さいとおっしゃる方もいらっしゃいます。 経年劣化という言葉が使われていますが、正しくアンティーク時計には 愛すべき経年劣化があるということです。 古いキズや変色は、その時計の持つ物語としていたわって使いましょう。


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