ひとり言バックナンバー No.2
ひとり言(最新)に戻る

1月23日 時計の型番組み違い (No.25)
 一般にあまり知られていませんが、"型番組み違い"という商品があります。 1970年以降はこのような商品は少なくなりましたが、それ以前はは良く見られました。
メーカーから出荷するときに、ムーブメントAは3番のケースと4番のケースに収めて、 文字板はaとbに、針はxとzというように決めますが、 これが何かのはずみか手違いで、組合せが変わってしまうのです。 それが型番違いです。
検査も気が付かず、或いは昔のことですとこの位なら良しとして出荷されます。 こんな品物は珍品になるかもしれませんね。
今年の年賀状で、No.が鉛筆書きの葉書が北海道で発売になり、 一通100万円になるとの話題になっています。 まぁこれ程の事はありませんが、昔は良くこんなことがありました。
何かおかしいなと思ったら、メーカーの資料室に問い合わせしてみることです。 でも資料室でもわからないことがありますよ。!!
では又。

1月17日 イミテーション時計 (No.24)
 今回はイミテーションと型番違いのお話をしてみましょう。
一般にイミテーションとかコピー商品と言いますと、本物に偽せて作った商品とか、 ロイヤリティーを支払わずに別なところでそっくりに作った品物を言っています。 これは、時計の場合ですと、ムーブメントに他社の製品で特に廉価品を組み込んで、 ケースや文字板を本物そっくりに作って販売しているようです。 初めから”これはイミテーションです”と言って販売する場合と、 知らずに買わされている場合とがあるようです。
正規の工場から盗み出したケースや文字版をそのまま使って、中身(ムーブメント)だけ 他社のものを組み込んだ知能犯的なものもあります。 又、ひと目でイミテーションと解る愛すべき品もありますが、 知能犯的な商品は私たちでも騙されてしまうことがあります。 外見だけでは見分けがつきません。 又、良くここまで頭を使って偽物を作ったなとつくづく感心してしまう商品もあります。
次回は型番違いのお話です。
年賀葉書のNoなしのお話に似ています。お楽しみに。

1月10日 修理代金は高い? (No.23)
 時計の修理代金が高いとお思いの方は良くお聞きください。 時計職人の収入は、30才のサラリーマンの平均に近いのです。
サラリーマンは、休日でも給料は出ていますが、時計職人は休んでいるとそれだけ収入がありません。 実際に働いているときだけが収入の源となっているわけです。 一般のサラリーマンは、休日でも給料は出ていますが、時計職人は修理をしないと収入になりません。 ですから、時間給で計算すると集中して高額になってしまいます。 しかし、おしなべて考えると、差程高給はもらっていないようです。
以前にも一度お話したことがありましたが、時計の修理代金はYシャツのクリーニング代より安いのです。 又、女性のハイヒールの踵の皮のへり具合よりも安いのです。
仮に30,000円の修理代で5年使えたと考えてみましょう。1825日で30,000円ですと、1日約16円強です。 Yシャツは1日でクリーニング代100円です。
1日に何回も世話になる時計は、こんなに安くメンテナンスができるのです。 ためらわずにきちんと3年から5年に一度の定期手入れをしてください。
12月26日 メンテナンス時期について (No.22)
 時計に関わる雑誌が沢山出版されていますが、その内容が殆どロレックス一辺倒なのはどうしてでしょうか? 何故ロレックスに傾倒しているのか不思議です。そうしなければ本が売れないという変な話ですね。
先月号のある雑誌に、ロレックスの批判記事が出ていましたが、これは大変面白く読みました。 一社くらいこの位のサムライ出版社があっても良いと思います。
ところで、そのロレックスですが、これは自動巻きの回転トルクが大変強いので、 油が切れても良く巻けるし、時計も動きます。 更に修理代が高いということで、そのまま使い続ける人が多いようです。 手入れなしで5年以上使ってしまいますと軸の磨耗が激しく、ひとたび修理に出すと、部品の交換個所が多く 修理代がめっぽう高くなります。 3年から5年の間には必ず定期的に手入れをすることをおすすめします。
これはロレックスに限らず、すべての機械式時計に対して共通のことです。 クォーツ時計も3回目の電池交換時には、オーバーホールをおすすめします。

12月19日 自己PR (No.21)
 今回は一寸自己PRです。
2001年の1月に、里文(リブン)出版社から骨董雑誌では老舗の「目の眼」という月刊誌が出てますが、 別冊が発行されます。オクルスという名の雑誌です。 特集で「アンティークウォッチ、クロックを手に入れる」のタイトルで、14項目に分けて収録してあります。 海外の骨董事情や、オークション情報など盛り沢山の雑誌です。 お読みくださることをおすすめします。
又、レミントン社からは、時計に関する専門的な内容を含んだ単行本が発行されることになっています。 発売日など詳しくわかりましたらお知らせいたします。
別件で、ワールドフォトプレス社発行の「MEMO 男の部屋」という雑誌があります。 これは毎月27日発行ですが、この雑誌に”修理に来た時計の謎”というタイトルで 一寸エッセイを書いています。店頭で立ち読みでもしてください。 感想などお聞かせ頂ければ幸いです。

12月12日 壊しつづけて (No.20)
 壊しつづけて50年というのが私の人生ですが、振り返ってみれば本当に良く壊しました。
最近医療ミスがTVや新聞で報道されていますが、何故今になって明るみにでるのでしょう。 ここ数年の傾向ですが、昔はなかったのでしょうか。本当に不思議です。 私が子供の頃、知人の医者が遊びに来て、私の父と酒を酌み交わしながら、 ”医者だって200人殺さなければ名医になれない”という話をしているのを聞いた覚えがあります。 この話に似ていますが、時計師だって200個壊さなければ一流の時計技術者にはなれないなと思いました。 物騒な話ですがほんとの話になりそうです。
大分前ですが、世界の腕時計に寄稿していた時、”壊しつづけて40年” というタイトルで書いたことがありますがあれは本当です。 ただし、時計は生命に関わりがありませんから医療よりはマシと思います。 私に壊された方ごめんなさい。
又、時計技術者で私と一緒に勉強したい方、新会社で働いてみたい方ご連絡ください。 年齢は問いません。当社の条件もございますので詳しくお話させていただきましょう。
新会社名称は(株)ジャパン・ウォッチ・ラボです。

12月5日  (No.19)
 修理に永年携わってきましたが、100%パーフェクトに仕上がるということは、 本当に少ないように思います。
間違いのないように、念には念を入れて組上げるのですが、そこは人間様のやること。 絶対ということは全くありません。私めなど、ここのことろまあ年齢のせいもあると思いますが、 失敗も多いようです。お客様から、お咎めの言葉を頂くことしばしです。
特に最近は営業と別になりましたので、お客様と直接話をして修理をお預かりしていれば 良く説明できるのですが、営業マンが中に入りますと、どうしても疎通に欠けることがあります。 ここのところトラブル続きで悩みが絶えません。
何10年も前の時計は。新品と同じようには仕上がりませんし、精度・機能も相当に劣ります。 外見も劣化があり、それなりに感じ取って可愛がって使って欲しいものです。 アンティークの時計だって、女房と同じように古いなりに味があっていいものです。 良い点だけ褒めて労わってあげましょう。

11月28日(No.18)
 少し前のことでしたが、ロレックスのデイトナのOHをお預かりした時のことです。 定期的な手入れということでお預かりしたのですが、中を見てビックリしました。
寒気がする程きれいな仕事をしているのです。 5年も前にOHをしたということでしたが、本当にビックリしました。 私めなんかより遥かに腕の立つ技術者がいらっしゃるのだなと痛感しました。
そんなときは、その方に逢ってみたくなります。そして膝を突き合わせて 心ゆくまで技術談義をしたいと思いました。
現在、オークションに出品するアンティークウォッチを鑑定する仕事をしていますが、 きれいな仕事で仕上がった時計にお目にかかることは全くまれになっていますので、 残念なことと思います。

11月21日 道具ときれいな仕事 (No.17)
 腕の立つ職人の作った服は、着くずれがしないで長い年月に耐えられると言われています。 家具でも建具でも同じですね。
時計の場合は、次にOH(オーバーホール)するまでの期間が長くなるのです。 洗浄の仕方や、油のつけ方で時計の寿命に差がでてきます。 もちろんゴミが入ったり、水につけたりした場合は違いますが、 正常使用ですと、腕の立つ職人がOHした場合ですと 3年以上5年位は使用可能です。
又、手入れがきちんとされた工具でOHした後で仕上がりを見ると、 新品で出荷された時と全く同じ顔であることに気が付きます。
きれいな仕事をした技術者の手が入った後に、次の作業でお預かりした時など、 前に作業した方にお目にかかりたくなる事もしばしばあります。

11月15日 良い道具 (No.16)
 ”弘法筆を選ばず”と言いますが、時計の世界では必ずしもそうではありません。 修理する際、やはり道具や工具が貧弱では良い仕事はできません。
職人の世界で、良い道具・悪い道具ということは、良く整備された道具と そうでないものとに分けられています。 手入れの悪い道具はいかにメーカー品であっても決して良い道具とはいえません。
カンナをかけている大工さんの仕事の中で、削りくずが前方にカンナの幅で 一本に繋がって飛んでいく様、こんな風景見たことありますか? 体中が震えるほどの感激です。 手入れの行き届いたカンナで、しかも年期の入った手で削ってこその仕草ということですね
時計職人の中にもこれに似た事が沢山あります。

11月7日 異業種交流で研究成果があがる (No.15)
 前回にお話しましたように、時計に関する研究は、大学の工学部や機械・電気と その道の専門家が集まって知恵を絞っています。
しかし、30年位前になるでしょうか、経済界で異業種交流が叫ばれるようになり、 企業間でこの会合があちこち開かれるようになりました。
パチンコ店の経営者と話をすれば、パチンコ玉の研磨と時計部品の研磨で 共通の話題になったりするのです。 寿司職人との話ですと、リズムに乗った手の動きが如何に大切なことかが解ります。 板前さんですと、一本の包丁とピンセット一本が話題の中心です。
職業が違っても、必ず何か共通するところがあり、それがヒントになって 更なる発展に繋がっていくことでしょう。


ひとり言(最新)に戻る